思うように走れない体に苛つき、夜な夜な飲んだくれる日々。
行きつけのバーで些細なことから他の客とトラブルに。威勢良く啖呵を切ったはいいが2人がかりでボコボコされ、あげく財布もケータイもなくし、打ちひしがれて電柱にもたれかかっていた俺。
ケッ!汚ねぇよなぁ。二人がかりなんてよ。けど俺だってただやられていたわけじゃねぇ。一発入れて鼻血まみれにしてやったし、もう一人の服はビリビリだ。ははっ!ざまあみろってんだ!! …………チクショウ。
僕を連れていって…………
やり場のない虚しさに支配され、もう一歩も動けないでいたその時。どこからか声を掛けられた気がして顔を上げた俺の目にとまったのは、一台の黄色いバイク。マンション前の歩道にで雨ざらしにされ、傷だらけの車体に埃を被ったタンク。端まで寝かし切れてないタイヤがもどかしい。ふふっ今の俺にそっくりじゃねぇか……
なぁ、お前。俺と走りたいのか?こんな俺でも一緒に走りたいっていってくれるのか?心の奥底に眠っていた感情がうずき出す。自然と笑みがこぼれる。もう駄目だ。どうにもとまらない。ああ……。
「行こうか」
